環境info トップページ ≫ 地域情報 ≫ 『地域に学ぼう、環境取り組み』 NO.008

地域情報 ナビゲーター 廣瀬 仁(ひろせ ひとし) {プロフィール}
2007年04月16日
今回の話題はどちらも最新ニュースではありません。むしろ、他の地域においても同様の取り組みが進められていると思われます。でも、この2つを選んだ理由には、地域の「特性」や「資源」を十分に生かしていること、そして地域の人々の「熱い思い」が込められているという共通点があります。
環境情報を発信する場合、私はこの点がとても重要だと考えています。インターネットの普及で情報伝達スピードが想像以上に早くなった今こそ、目新しい情報だけを追い求めるのではなく、“地域の特色や資源を活用し、そこ暮らす人々の知恵と情熱”という視点でとらえた地域情報を発信したいと思っています。
■キッチンリサイクルが生み出すブランド野菜 【神奈川】
神奈川県厚木市の「厚木なかちょう大通り商店街」では、買い物客が持ち寄った生ゴミを堆肥化し、その肥料で栽培した有機野菜をブランド化して販売している。
これは環境省が推進する「循環型社会形成に向けたエコ・コミュニティ事業」の助成を受けた生ゴミリサイクル事業の一環で、2年間の試行期間を経た07年から本格的にスタートしたもの。
“自分たちの出した生ゴミが肥料となり、再び地元の食材となって食卓に戻ってくる”という「キッチンリサイクル」の考え方により、「生ゴミ」→「堆肥」→「有機野菜」→「食卓」の『食』を地域で循環させようという試みである。
買い物客(会員制)は、商店街の一角にある生ゴミ処理施設「エコステーション」に分別した家庭生ゴミを持ち込み、重量に応じたエコマネーを受け取る。エコマネーは1キロ当たり10ポイント=10円として、同商店街の約20店で利用できる。回収した生ゴミは、乾燥処理後、市内の東京農業大学の施設で完熟堆肥化して近郊農家に提供する。トマトやダイコン、ネギなどの有機栽培に使われ、採れた野菜を『なかちょう野菜』というブランドで店頭やエコステーションで販売する仕組みだ。
商店街を舞台に、住民や企業、農家、大学などが連携して取り組む「食の循環」は、生ゴミ問題を解決するばかりでなく、住民の連帯感、子どもたちの食べ物を大切にする教育にもなりそうだ。
もちろん、“地元で出た生ゴミを地元の土に返し、循環させてつくる食材は、そこに暮らす人にとって最も適した食べ物”という「地産地消」の観点も忘れてはならない。
[参考]
神奈川新聞(2007年3月20日付)
厚木なかちょう大通り商店街振興組合: http://www.nakachou.or.jp/
環境省(報道発表資料):http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8007
■協働の森づくり事業でCO2吸収量を増やせ! 【高知】
県土の約84%が森林である高知県では、企業と地域とが協働して森林の再生を図る『環境先進企業との協働の森づくり事業』を展開している。
これは、森林によるCO2吸収量を増加させる取り組みとして、「CO2排出権取引」の創設も視野に入れた森林再生協働事業である。
企業・県・市町村(森林組合)の3者が「パートナーズ協定」を締結し、企業は市町村(森林組合)に協賛金を直接提供する。その資金でCO2吸収源としての森林整備(植林、下草刈り、間伐など)を行う。企業はボランティア活動を通して地域との交流を深め、また社員の体験型環境研修として活用できる。現在、趣旨に賛同する「パートナー企業」は12社で、およそ800ヘクタールの森林整備が進んでいる。
19年度はパートナー企業のメリットをより明確にするため、当初から模索する「CO2排出権取引」の創設にむけた内容を充実させる。専門委員の審査によるCO2吸収量を県が独自に認証する「CO2吸収証書」の発行や、発電事業者が石炭の代わりに間伐材を使って発電し、削減できたCO2量を認証・クレジット化する計画である。
企業参加による森林整備事業は全国に拡大し、26道府県で実施または検討中だ。さらにCSR活動の機運も高まり、行政との協働提案事業は各地で積極的に行われている。
そのなかで高知県の例は、従来の植林と保全を中心とした森づくりにとどまらず、積極的な間伐でCO2吸収源増加させ、国内の排出権取引制度を推進する動きとして注目したい。
[参考]
高知新聞(2007年3月19日、28日付)
高知県循環型社会推進課:
http://www.pref.kochi.jp/~junkan/kyoudouno_mori/kyoudounomori_top.htm
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