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環境行政・統計情報 ナビゲーター 松原 弘直 (まつばら ひろなお) {プロフィール}
2007年03月13日
すでにご覧になった方も多いと思いますが、地球温暖化を真正面から取り上げた映画「不都合な真実」やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)からの第4次評価報告書の発表など、今年に入ってから地球温暖化が大きくクローズアップされています。日本がCO2などの温室効果ガスの排出量削減6%(1990年比)を約束している京都議定書は、いよいよ来年から第一約束期間(2008-2012年)を迎えます。政府もこの様な時期に「21世紀環境立国戦略」と呼ばれる日本としての新たな環境戦略の策定を始めています。
この様な動きの中で、いわゆる持続可能な社会を実現する上での基本となる「日本の環境ビジョン」を示したものが、昨年4月に閣議決定された「第三次環境基本計画」です。昨今、先進的な地方自治体や企業が、地球環境問題などに積極的に取組む事例が増えて来ていますが、これらを点から面へ広げる上でも重要な計画だと思います。
この第三次環境基本計画では、環境政策の方向性を次の様に示しています。いずれも重要な観点ですが、特に最初の「環境・経済・社会」の統合は、これまでの「環境」に限定された考え方から一歩踏み出した形となっています。また、不確実性を踏まえた取組みも、地球温暖化問題などいわゆる「予防原則」が必要な多くの環境問題を考える上で重要な視点です。
第三次環境基本計画の方向性
具体的な展開あるいは戦略については、以下の様な重点分野が項目として挙がっています。地球温暖化問題が最初の項目になっていることが象徴的ですが、従来の環境行政の枠を超えた新しい方向性を志向しており、市場の活用や人づくり・地域づくりも新しい視点となっています。さらに、長期的な視野として2050年頃までの「超長期ビジョン」の検討も昨年6月から始まっています。
第三次環境基本計画の重点分野政策の項目
これらの各重点分野の進捗を点検するために、持続可能な社会実現のための「指標」の考え方が以下の様に示されています。GDPなどの経済指標は、国の経済の運営に欠かせないものとなっていますが、現状や効率・効果を把握するためにこれらの「指標」の活用が検討されています。今年の1月からはこれらの「指標」を検討するための委員会も始まっています。
持続可能な社会実現のための指標の考え方(第三次環境基本計画)
この中で「エコロジカル・フットプリント」は人間の活動が環境へ与える負荷の収支を土地の面積で表しており、環境指標としてすでに国際的に活用されています。スウェーデンなど、持続可能性(sustainability)についてのビジョンや戦略をすでに持っている欧州の国々では、「持続可能性のための指標」を国で定めて定期的に公表や評価を行っています。ブータンの様にGNH(Gross National Happiness:国民総幸福量)という指標を導入するほど「幸福」をもっとも大切なテーマと考える国もあり、国により「指標」の扱い方はさまざまです。日本においてもジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)などのNGOなどが持続可能な社会を実現するための指標を検討しています。
持続可能な社会を目指す試みも世界中の都市ではじまっており、ICLEI「持続可能性をめざす自治体協議会」などにおいて、「サステイナブル・シティ」”Sustainable City”など国に先駆けた多くの事例も見られます。国内でもNPOが主催する環境首都コンテストや環境自治体会議などの活動が活発に行われています。いずれにしても国レベルでの環境ビジョンや指標の活用だけにとどまらず、地域レベル、企業レベルそして個人レベルなど、さまざまなレベルで環境・経済・社会のバランスをうまくとって、持続可能な社会を目指すことが大切ではないでしょうか。
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