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国内排出量取引制度と「カーボン・オフセット」

環境行政・統計情報 ナビゲーター 松原 弘直 (まつばら ひろなお) {プロフィール}

2008年12月02日

太田豊彦

 去る10月21日に満を持して(?!)「国内排出量取引制度(試行)」がスタートした。日本国内初の排出量取引制度のはずであり、キャップ&トレードといわれるスキームが組み込まれているはずであった。
 しかし残念ながら、産業界に配慮する余り、なんだかよくわからない制度となった。じつは、2005年度より環境省は「自主参加型国内排出量取引制度」(JV-ETS)をすでに稼働している。しかしながら、今回の「排出量の試行制度」は現時点では、それとはまったくリンクしていない。つまり制度設計として、国際的な制度とのリンケージが図れておらず、これでは“国内初”と呼ぶことができない。
 両制度のポイントをいくつか挙げると、以下のようになる。

  <国内試行制度> <JV−ETS>
参加単位 企業単位(一部、未定 事業所・工場単位
参加資格 大企業、中小企業問わず参加可能 温対法特定排出者
目標設定 「自主行動計画」に準ずる
行動計画非参加者は、総量1%以上
「補助金あり」は、年300トン以上の削減義務
「補助金なし」は、総量1%以上
基準年 行動計画は1990年比
非参加者は、直近3カ年平均値
直近3カ年平均値
排出枠 事前交付及び事後清算 初期割当量(JPA)
罰 則 なし 補助金型は返還
公 表 なし 未達は公表


 JV-ETSは、補助金採択事業でありながら一応、キャップ&トレードの形式をとっている。それに対して、今回の試行制度は、より自主参加型であり、規制やハードルが緩やかなものとなっている。来年の1〜3月及び秋にはフォローアップを行い、修正や拡充がなされるそうだが「国内統合市場の試行的実施」と銘打つのであれば、両制度はリンクさせ、ブラッシュアップさせるべきではなかったろうか。

 主要都市で開催された「セミナー」(全国説明会)では、併用される「国内クレジット制度」の概要についても説明がなされた。大企業がサプライチェーンなどの中小企業に資金や省エネ技術を供与する代わりに、拠出される成果(削減クレジット)を大企業が自社数値にカウント出来る仕組みだ。つまり、国内版CDM(クリーン開発メカニズム)である。この国内クレジット制度との併用によって、経産省は試行制度の参加を促したい考えである。しかし、そう上手く事が運ぶとは思えない。なぜなら、今回の試行制度では、企業へのインセンティブ(誘因)が明確ではないからだ。前述の国内クレジット制度は、あくまで使用できる排出権のひとつであり、いわゆる京都クレジット(京都議定書で定められた国連CDM理事会発効の排出権)や試行制度で発行される削減相当分も当然、使用することが出来る排出権である。つまり、先に併用と書いたように、あくまでツール(手段)であって、本題ではない。では本題である今回の試行制度のインセンティブとは何か?結局は、制度そのものの規制対応や順法である。しかし、それだけでは黎明期の試行版に参画するアドバンテージとは余り感じられず、経団連の加入企業は、体裁上参加せざるをえないだろうが、中小企業や自主行動計画を持たない企業にとっては、その参加意義は甚だ疑問であろう。
 一方、「カーボン・オフセット」はボランタリー(自発的)なマーケットである。よくキャップ&トレードの“排出枠”不足分(未達成)での相殺(補填)と混同されるが、本来、カーボン・オフセットは主体的に取り組むものであり、目標未達成や法違反に対する罰則として行うものではない。つまり、キャップ&トレードの“排出枠”を達成することは順法の精神であり、義務である。かたや、カーボン・オフセットは自らの排出量を埋め合わせることであり、総量(地球全体)としての排出削減量(削減クレジット)を助長するものである。したがって、自らへの責任感の具現化(手段)ともいうべき、概念である。

 また、カーボン・オフセットについては“免罪符”と捉えられる懸念がある。つまり、カーボン・オフセットを行うことにより、自らの削減努力(あるいは、排出/背信的行為?)を怠っているのではないか、という非難である。これに対してはシンプルに結論付けたい。“大義が違う”ではどうだろう。
 排出枠にせよ、カーボン・オフセットにせよ、とどのつまり、本質は、温室効果ガス(GHG)を“減らすこと”であり、罪を逃れることではない。もともと免罪符は、十字軍への参加を贖罪として認知することであった。しかし、カーボン・オフセットは、自分がどうしても達成できない部分を他の場所での削減で補うことであり、他の場所とはすなわち、天国や教会ではなく、同じ地球上のしかるべき場所なのである(CDMやJIなど、当然、削減プロジェクトは検証化されている)。
したがって、カーボン・オフセットは、活用すればするほど、何処かで確実に、GHGは削減されているのである。すると、温室効果ガスを減らすという“大義”は成就されている、といえるであろう。

 私は基本的に、企業は、法や規制で縛るしか方法はない、と考えている。なぜなら企業は、システムやロジカルな仕組みによって成立しているからである。一方、ボランタリーマーケットであるカーボン・オフセットは、先述の「国内排出量取引制度(試行)」に参画できない個人や、あるいは参加するインセンティブを見出せない中小・零細企業にとって有効な手段であると考えられる。
  なぜなら、その主体性がゆえに、ポジティブな取り組みとして、順法や規制対応にはない発信力を有している。また同時にそれは、規制枠外での削減に間接的に、あるいは直接的に繋がるという仕組みを有しているからである。
 カーボン・オフセットが今後、普及・発展することは、排出量取引制度にもまして重要なことであり、地球温暖化対策への大きな役割を果たすことが期待されている。

 

<参考資料>
排出量取引の国内統合市場の試行的実施
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/dim/trial.html
環境省自主参加型国内排出量取引制度
http://www.et.chikyukankyo.com/
環境省「カーボン・オフセット」指針(PDF)
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/guideline080207.pdf
排出権市場ドットコム「カーボンオフセットとは」
http://www.co2-ichiba.com/carbon/index.html

 




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