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環境報告書 ナビゲーター 海野 みづえ (うんの みづえ) {プロフィール}
2007年02月07日
●絞り込んだ報告内容が求められている
昨年10月、GRIガイドライン第三版(G3)の正式リリースに伴いアムステルダムで会議が開催された。私も参加してきたが、2日半びっしり日程があったにもかかわらずG3の解説をするセッションが全くなく、一体何がどう変わったのかわからないままだった。そこで、昨年1月の素案解説では書ききれなかった分を補う記事を書いたので詳しいことを知りたい方はこちらをご参照ください。「GRIガイドライン第三版(G3)」と日本企業にとっての活用ポイント)」 アイソス 2007年1月号
(http://www.sotech.co.jp/rpt/rpt_b.html に記事をアップ)
私が日本の皆さんに伝えたいことは、この記事の最後にも書いたが次の2点だ。
・GRIが想定するステークホルダー(読者ともいえる)とは専門性の高いステークホルダーであり、企業の経営に大きな影響を及ぼすような力を持つNGOなどである。サステナビリティ報告書を社員の意識向上など内部目的で作成するならば、むしろGRIガイドラインを意識しない方がよい。
・ガイドラインの指標リストと解説書に引っ張られがちだが、単に情報を開示するだけが要請されているのではなく、自社の活動がステークホルダーに伝わる報告書でなければ意味がない。
指標リストばかり見ていると、多様なステークホルダーの多様な要求に応えて「情報を出来るだけ広く開示しなくてはならない」、「何だかまた新しいことをやらなくてはいけないらしい」と、捉える企業も多いかもしれない。しかしG3の特徴であるマテリアリティ(重要性)の特定は、企業にとって情報開示の作業負荷を減らす手段といえる。
この記事に示したBPの事例のように、自社とそのステークホルダーにとってのCSR主要課題を評価し、冊子での報告はかなり内容を絞って、詳細はウェブに開示する、というスタイルが最近のトレンドだ。単に要旨版をつくるのではなく、冊子版に掲載する情報を特定するステップ、プロセスをどう説明できるかが重要なのだ。報告書の外部保証とは、このプロセスを第三者が順を追って確認する作業とも言える。警察や検察官が行う査察のようなで仕事ではないのだ。
●もはや単一の報告書では伝達しきれない
また、隔年で行われているサステナビリティ社(英)の世界の報告書評価「Global Reporters (GR) 2006」も昨年11月に発表された。日本の企業は相変わらず、上位50社の最後の数社に名を連ねているにすぎない。2004年のランキングの際、私がコメントしたことをもう一度読み返してみた。
「日本では、サステナビリティ報告、CSR報告はこれから発展という傾向だが、欧米では発行数も伸びておらず、また報告内容や枠組みについても今後どのようにしたらいいか、先がよく見えないといった実情のようだ。サステナビリティ社は、問題を認識しながらもGRIの役割を考え今後も行方を見守るという姿勢だ。」(CSR倶楽部レポート 第11号 2004月11月15日発行)
この点、G3は企業にとって使いやすいガイダンスにするというところに力点が置かれたので、概ね好評のようだ。しかしそれで問題が解決されたわけではない。GR2006はランキングだけでなく下記の点を指摘している。
・リスク対応から価値創造のプラス思考へ
・投資家の関心が増大
→マテリアリティ: 財務へのESG要因<*要説明>の影響
・CSR課題の主要ビジネスへの位置づけ
・冊子のCSR報告書にまとめきることの限界
→多様なコミュニケーション・ツール展開
このなかで私は最後のポイントに特に関心をもった。GR2006によると、欧米の先進企業は「万能タイプの報告書では異なるステークホルダーの異なるニーズに対応することはできない」として、対象のステークホルダーに応じて各種の手段でコミュニケーションをとろうとし始めている。これは、サステナビリティ社のような評価機関が推奨して広がったというより、企業自身が、直面する事態について効率的かつ効果的に対応する術として見出した結果だ。
●枠組みに従ったデータの開示だけなら無意味
サステナビリティ社は、今回の評価にあたって、GRの評価基準をかなり大幅に変更したという。これまではパフォーマンス情報の開示で標準化をはかれるかトライしてきたが、今回は各社の戦略にどうCSR要因(またはESG要因)を統合し、実践しているかを重視している。その計画から取り組みの成果を報告するツールが、最新のサステナビリティ報告書と考えられている。
この辺までは何とか読み取れるが、同社のサステナビリティ報告についての評価基準や姿勢は、またまた混迷度を増してしまったように見える。「報告書を評価することと事業を評価することは同じではない」(GR2006 P.6)といっているものの、各種コミュニケーションのなかでサステナビリティ報告はどんなものがいいのか、概念はわかるが具体的にどう評価しているかはわかりにくい。
一方、「報告書にサステナビリティの目標をまとめるだけでは、どんなに測定基準がすばらしく報告が正確でも・・・保証するものにはならない」というコメントは重要である。日本企業が未だに全般的なパフォーマンス報告といった「データ」の開示を気にかけているとすれば、サステナビリティ社の評価軸からどんどんかけ離れていくのは目に見えている。
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