HOME | 「環境info」についてサイトの目的環境調査レポートについて広告掲載について著作権についてお問い合わせサイトマップ

 

環境報告書/CSR

環境info トップページ ≫ 環境報告書/CSR ≫ SRIと新しい企業・金融


SRIと新しい企業・金融

環境報告書/CSR ナビゲーター 海野 みづえ (うんの みづえ) {プロフィール}

2007年05月10日

● SRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)評価基軸の再検討
国内外の最新SRI事情について書いた本が発行になった。
「SRIと新しい企業・金融」、谷本 寛治編著、東洋経済新報社
これは、谷本先生を座長としたSRI研究会(野村證券寄付講座)の成果をまとめたもの。私もそのメンバーとして参加し、「第3章 企業評価におけるマテリアリティの特定」を担当させてもらった。

メンバーはほぼ金融関係者ばかりという中、私は当初海外のSRI評価機関の最新状況を執筆するという役割でワーキンググループ(WG)のひとつ(メンバー:日本総研、野村證券、三菱UFJ信託ほか)に入った。しかし海外ではダイナミックなSRIの変革が進行中で、従来のように評価機関のアプローチだけを追うのではこのうねりはわからない。このダイナミックな変革は、SRIの評価基軸そのものを再考する議論によるものであり、マテリアリティをどう評価するかが最も中心の論点だ。他のメンバーも同様な認識で、よしこの議論を中心に書こうということになった。これで私の中のマテリアリティ指向の考えに確証がもて、論考がぐぐっと前に進んだ。

※マテリアリティ(Materiality)とは、
もともと会計分野で使用されている専門用語であり、簡単にいえば「財務に重要な影響を及ぼす要因」のことを指す。CSRの要因は、長期的に財務や企業経営に影響する重要な課題、つまり将来の企業価値を左右するまでになっている。

ほんの1年半前は、日本で企業や会計士の方たちにマテリアリティの話を持ち出してもまるで要領を得なかったので、私は仕方なく自分の課題として引き出しに入れておいたものだった。しかし、海外の流れに常に接しているこのWGのメンバーはすぐに反応した。メインストリーム投資で社会評価を位置づけるにはマテリアリティの観点が必要であることがわかっている人たちだったから。

※メインストリーム投資
パフォーマンスの向上を第一とする一般の運用などの投資を指す。これに対しSRIは特殊な投資である。

このメンバーとの議論は非常におもしろかった。私の中で漠然としていたMaterialityとRelevanceの概念の違いや、財務関係者とCSR関係者とのマテリアリティ解釈のギャップの考察などを投げかけてみると、皆、根本的な議論を歓迎し、意見を出し合って大いに沸き立ってくれた。私の気づかなかったフレームなども紹介してもらい、多くの刺激をもらって、これで論点が整理できた。

とにかく探究心旺盛な金融業界の方々と同じレベルで話ができてよかった。彼らは海外の規格などを聞いても、それをすぐそのまま当てはめようとはせず、それぞれ自分のロジックでフィルターをかける。残念ながらCSR関係者は、「・・・そんなあるべき論なんかいいから、今何をやればいいの?」と手っ取り早くノウハウだけ聞きたがる傾向にある。どうして自分で考えて、オリジナルの論法で勝負しないのだろう。特にCSRコンサルタントと称する人たちが表面的なサーチだけで「今のトレンドはこれだ」といった感じで企業をたきつけて、つまりは他社と差別化するためのサービス手段にしてしまうのはどうしたことか。このような人たちにとってコンサルティングとは、流行りだしたものを企業に素いち早く示すことらしい。「自分で課題を発見し、自分の頭で考え、自分でソリューションを出す」ことができないコンサルタントって一体何?


● SRIとメインストリームはねじれながら歩みよる
これまでのSRIは、SRIに特化した投資家が引っ張ってきた経緯があり、ニッチ市場だった。ここにきてメインストリーム投資でも環境・社会・ガバナンス(ESG)要因が重視され始め、SRIのメインストリーム化と同時にメインストリームのSRI化が進みつつある。そこで私たちのWGは、この新たな傾向を実証するために、海外調査を行うことになった。昨年の3月にメンバー6人で北米調査、そして夏から秋にかけては個別に欧州調査を行った。

※SRIのメインストリーム化とは、
投資を通して「いかに世の中を変えるか」という古くからのSRIにおいても、ファンドのパフォーマンスやCSRと業績の関係を説明することが求められている。

※ESGは、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)のことをさしており、金融関係者の間ではトリプルボトムラインにかわって呼ばれている用語です。

メインストリームのSRI化といわれ始めているものの、アメリカの資本市場は思ったほど社会・環境評価を取り込んでいなかった。私たちは、SRIとメインストリームが両極端にあり、それが真ん中の均衡点に向かって両者が歩み寄っていると思っていた。確かにその動きはあるのだが、それが決して交わらない。この位相が違う現象を、日本総研の足達さんが「ねじれの位置」とうまく表現してくれ、一同納得。

またこの出張で、メインストリーム運用機関がSRIを受け入れる最大のポイントは「受託者責任で説明できるか」という点にあることがよくわかった。SRIを前提にしてこの方針に賛同して集まったファンドならば投資家への責任が果たせるが、もともとある基金の運用が主ならば、ファンドのパフォーマンスがあって始めてSRIが成り立つ。つまり「それで儲かるのか」と問われたとき、「No」または説明できなければ投資は見送られる。自分で納得できなければ委託者にも説明できないだろう。「想い」だけではメインストリーム投資家は動かない。受託者責任を突破するには、マテリアリティの論証が必須なのだ。

余談だが、一緒に旅行していると、メンバーの性格とか趣味とかそんなことが自然にわかってくるので楽しい。私は東京での勉強会では、随分と構えていて主張モードだったけれど旅行中はリラックスした話ができてよかった。またこういう機会を持ちたいものだ。


● 財務アナリストとの混成チームによる評価
欧州の調査では、企業側からのコンタクトも含め、10月のGRI会議の前に私単独で数社訪問した。できるだけ従来型でなく新しい評価にチャレンジしている金融関係者を訪問した。その中のひとつ、Generation Investment社は、社会・環境評価と財務評価を総合的に判定するリサーチをとっていて斬新だった。ここの調査責任者は、SAM(SRIインデックスを早くから開発しているスイスのSRI評価機関)でSRI調査に長年携わってきたエキスパートで、調査票式SRI評価の効用と限界を知り尽くしている。そのうえで、調査票に基づかないアプローチをとっている。あいにくその調査責任者には会えなかったが、別のスタッフから「私たちが新しいサステナビリティ投資を世に示す」という意気込みがビシビシと伝わってきた。

企業の訪問については、マテリアリティ議論を推進しているイギリスのNGOであるAccountAbilityからマテリアリティ・プロセス先進企業を教えてもらい、BT(ブリティッシュテレコム)やBPを訪問してきた。これについては、同機関より調査レポート”The Materiality Report”が2006年11月に発行されたので、次号で解説する。

今年に入り温暖化対策モードが世界で一気に高まっているので、投資家のESGへの関心はかなり加速されているだろう。引き続きこの世界の動きをウォッチしていくことにしたい。

 




スポンサーPR≫こちらに広告を掲載するには?

株式会社リンド

美しい、安全、簡単、安い「土壌固定材PX−300」は、舗装、斜面保護、粉塵飛散対策等の環境配慮を強くサポートします。

テクノファ

環境の視点で組織とその活動をみることのできる「環境プランナー」の資格につきましては、「テクノファ」まで。

エコシス・コンサルティング

環境配慮活動推進及びコンサルティングの視点醸成はエコシス環境プランナー資格講座で。




ページの先頭へもどる

環境経営(製造業)環境経営(流通・物流業)環境報告書/CSRリサイクル自然エネルギー
まちづくり地域情報LOHAS(ローハス)自然環境環境教育環境行政・統計NGO・NPO
HOME 「環境info」について サイトの目的 環境調査レポートについて広告掲載について著作権について お問い合わせサイトマップ