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環境報告書/CSR

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「食品業界に必須の3つ目の『安』」

環境報告書/CSR ナビゲーター 海野 みづえ (うんの みづえ) {プロフィール}

2008年11月28日

●困難になってきた原料調達
食品へのメラミンや農薬混入事件など、食品の品質問題がまた露呈している。
今度は世界中で食の安全性への懸念が広がっており、消費者からの信頼を得るために「安全」で「安心」できる製品を提供することは、食品会社にとって最優先の課題だ。

ただし、お客様第一主義は重要だが、膨らむ一方の顧客満足度を満たそうとすると長期的に世界の持続可能性確保の方向性に逆行する行為になりかねない。食品の品質問題が起こるのは、安全な食料の原料確保が難しくなっていることも大きな要因だ。安全で安心な製品を提供するために、3つ目の安として「安定」した原料調達が食品会社に必須の戦略になっている。

市場経済のもとでは、現在の消費ルートで適正な価格で販売できるような価格で原料を購入、確保しなければならない。しかし調達コストを押さえることばかりが強調されれば、どんなやり方でもいいから原料の形をしたものを手に入れようということになる。これが農業生産に影響していけば一時的な収量増加のために、どんどん収奪型の農法が広がる事態を招く。

農業は自然ともっとも近く、自然と共生しなければならない産業であり、人間の都合よく期待する収量が得られるものではない。気候変動によるダメージを受けるのもまず農業からだし、食料需要が自然の生産能力以上になればそこに取り合いが起こる。自然の恵みである地力や資源は無尽蔵ではなく、人間のほしいままに使えなくなっており、長期的に安いコストで農産物を作り続けるということは不可能になっているのだ。人間の経済活動は、自然の再生力の範囲でしか成り立たない。忘れられていたこの大原則が、食品業界で再認識されている。

●持続可能な農業の共同推進
その解決策として、各地で生産地と協力して持続可能な農業を進めることが模索されている。例えば、欧米の食品業界では、同じ問題を抱える会社が集まって途上国での持続可能な農業を支援するSAI(Sustainable Agriculture Initiative) Platformを組織している。早くからこの問題に直面してきたグローバル・リーダーであるダノン、ネスレ、ユニリーバ、3社が2002年に立ち上げ、現在24社が参加している。主導役はヨーロッパで、それにアメリカが追随するという成り立ちだ。日本企業はどこも参加していない。

この組織の目的は途上国への支援ではなく、将来にわたる食料の安定供給の基盤をつくることだ。買う側である先進国が有利に交渉できる時代は終わった。生産者側と協力しあわなければ共倒れになる状況で、安定調達を確保する戦略なのだ。SAIではその行動原則に基づき、メンバー企業それぞれが持続可能な農業に取り組むとともにその成果を共有し、協力しあって世界全体で安定生産を目指している。行動原則のなかには、環境保全だけでなく生産地の経済がうまくまわる農法システムの推進が盛り込まれている。

メンバーは企業ばかりだが、フードチェーンに関わる様々なステークホルダーを協力者として巻き込んでいく行動をとっている。まずは、生産地域の農民や住民団体との連携だ。一時的な売買関係でなく、永続して双方が利益となる方法を見つけようとしている。このような地域への協力は日本企業でも珍しいことではない。味の素では、アジア諸国で収量向上のための技術協力を実施しており、かなりの成果をあげている。他にも栄養改善のための普及活動など、地道に地域との連携に力を入れてきている。

●ステークホルダーとの共同連携も
しかし農産物供給は世界のすべての人々の問題で、1社だけの努力でやり切れるものではない。活動のネットワークをつなげ、食品業界が一緒になって人類の大問題に向けて努力したほうがより良いし、ステークホルダーからの協力も単独でやるより得られやすい。長期的で地球規模な問題であればなおさらだ。この業界に限らず、欧米がよく実践するマルチステークホルダーのスタイルだ。

外部からの評価においても、「○○社は、自社でこれだけやっている」という単体のことよりもステークホルダーとの連携にどれだけ注力しているかがポイントだ。日本ではNPOとのパートナーシップというと企業が市民を助けてあげるというイメージで、あくまでも企業が強い立場にあるが、国際社会でNGOといえば、事業上のパートナーとして欠くことができないプロの存在となりつつある。

SAIはNGOではないが、業界団体的な存在であり、国連が食料危機打開に向けての方策を練るうえでの重要なパートナーとして協力を求めている。単なるネットワークと思うと大違いだ。日本企業もこのようなところに参加していないと、重要な国際政策への発言機会がないだけでなくその動向すら把握できずに、結局あとから決まったものを受け入れるという事態になりかねない。自分たちが不利にならないためにも、コミュニティに参加して仲間になっておくことが有効だと考えられている。

●生産者との連携は事業戦略の柱
SAIスタートアップ会社のひとつ、ネスレの展開を見てみると、同社ではCSRのためではなく事業戦略の柱として「共有価値の創出(Shared value creation)」というスローガンを掲げている。共有する相手とはもちろんステークホルダーのことであり、特に生産者との協働を明確に基本に据えているのだ。これまでネスレは生産と操業の直接ビジネスだけ考えていればよかったが、現在は川上の生産確保も自社事業と同一の重要性をもって力を入れているということを表している。ネスレを取り巻く様々なステークホルダーに向きあう戦略的な意図が、このスローガンから伺える。

日本の食品会社も、三つ目の「安」である安定調達に緊迫感をもちはじめている。これからは社会貢献の一貫ではなく、もっと戦略的に生産側のコミュニティとの連携を明確に示していくほうがいい。

 




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