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持続可能なまちづくり

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部分に気をとられて全体を見失うな 〜黒川温泉を再生した後藤哲学〜

持続可能なまちづくり ナビゲーター 中村 元則 (なかむら もとのり) {プロフィール}

2007年06月18日

願いがかなった
混雑する連休を避け4月に黒川温泉に行った。ここには、後藤哲也さんというリーダーがおられる。まちづくりに携わるものとして是非ともお会いしたい人だ。そんな強い思いから、到着するとすぐに後藤さんの経営する新明館に行った。
新明館入口にある雰囲気のある黒塗りの橋上に、青年のような輝きを放ちながら、人懐っこい笑みをした後藤さんが立っているではないか!私は思わず「後藤さんではありませんか」と叫んでいた。いつも思うことだが、強く思うことで、念願がかなうものだ。

超人気の黒川温泉
今や、黒川温泉は全国有数の超人気温泉地だ。
黒川温泉の魅力は、「日本のふるさと」を満喫させてくれるところにある。温泉地の周りは、雑木が生い茂り、20数軒の旅館は、雑木の中に埋もれるように建っている。旅館も、店舗も、外壁は「黒」を基調にし、軒先には、地方特産のトウモロコシが、何気なくぶら下がっている。これらは、熊本の昔の民家のたたずまい、阿蘇地方で古くから見られた風景なのだそうだ。
驚くべきことに、こうした景観は、偶然昔から残っていたのではなく、長年にわたって創り上げてきた人工的な演出なのだ。

黒を基調とした旅館と
雑木林が、素朴で癒される
ふるさとを思い出させる新明館
品種改良を全くしていない
日本古来の原種であるツツジと、
筑後川源流に彩られた新明館


再生のきっかけ
今でこそ、全国で最も注目される温泉街である黒川温泉も、昭和39年に開通したやまなみハイウェイの時期を除いて、昭和60年まではほとんど知られておらず、地図にも載らないほどであったという。閑古鳥が鳴くほど低迷していた黒川温泉を、今のような超人気のサイトに再生したリーダーが、後藤哲也さんなのである。
温泉街の再生のきっかけはこうである。
お客さんがほとんど来ない当時の黒川温泉では、旅館の青年経営者たちは、暇をもて余し、ソフトボールに興じていた。しかし、ある時、当時最も客が来ないと評判だった旅館の若手経営者が、黒川一繁盛していたものの旅館経営者達からは「嫌われ者」だった後藤さんに、教えを乞いに来たことから始まった。「哲也さん、ウチの旅館を良かものに変えたか。アドバイスをお願いできんじゃろか」と。

部分に気をとられて全体を見失うな
ご親切な後藤さんに誘われて、新明館の玄関を入ってすぐのところにある囲炉裏端で、いろんなお話を直にお聞きした。
その一言ひと言が、まちづくりや地域振興のコンサルタントを業としている私にとって、実践的で、しかもホンモノを感じるひと時であった。こうした後藤哲学とでもいうべき思想や考え方は、彼が文筆家ではないため、文字となったものは数少ない。
その数少ない書籍の一つが、本稿で既に何箇所か引用している「黒川温泉のドン、後藤哲也の再生の法則」(参考文献参照)である。この本は、お会いして直接お聞きした言葉を追体験でき、まちづくりや地域振興を考える私にとって、バイブルのような存在となっている。
彼の説く再生の法則は12あるが、その中で、今日の黒川温泉の景観を創り出した基本が、「部分に気をとられて全体を見失うな」である。黒川の将来ビジョンは、「地域全体が一つの旅館、道は廊下、各旅館は部屋」であった。そして、「露天風呂」、「入湯手形」、「雑木」の三つのツールによって、「地域全体=一つの旅館」が実現された。

反対を押し切って、成し遂げた「植樹運動」
目標はあくまで「黒川全体を変える!」こと、そう言うのはたやすいが実現するのは難しい。彼が決してあきらめないポジティブ思考の持ち主だからこそできたのだろう。
「旅館ごとの考え方はバラバラで、はっきり言えば、自分の旅館が第一、と思っているのがほとんどでした。全体を変えんと、いかんですよ。と言っても、最初全く分かってもらえませんでした。しかしその流れが、ある時期を境に、一気に変わります。それこそが、僕が仕掛けて、反対の声が相次ぐ中を強行し続けた、黒川全体に雑木を植えていく「植樹運動」でした」(黒川温泉のドン、後藤哲也の再生の法則より引用)

警告としての、最後の法則
彼が説く再生法則の最後に、「理想の状態は、最悪の事態の始まりだ」という法則がある。「商売がうまく行っているときは、実は、悪いことが始まっていると思わんといかん」と説く。
考えてみれば、人の一生も、開発した新製品も、そして会社経営も、すべてのものは命を持ち、誕生、初期、成長期、成熟期、そして衰退期というライフサイクルがある。まちも同様であり、絶頂期にある黒川温泉も同様だろう。

黒川が「日本のふるさと」であり続けるために・・・
衰退期の芽はいつの場合も絶頂期にあり、現在の黒川の場合、この法則が現実のものになり始めていると後藤さんは危惧している。
それは、「人が多すぎて落ちつかん。もう、黒川には来たくなくなりました」という、新明館の泊まり客の発言や、「最近の黒川温泉の経営者は“泊めてやっている”みたいな態度をとっている」という何気ない発言の中に衰退期の芽を感じるというのだ。
これからも黒川温泉が、「日本のふるさと」であり続けられるかどうか!?
仮に一軒でも目立つように、洋風の街灯やけばけばしい原色の看板を立てたり、外部資本が儲かるからといって画一的な店舗を建てたりする、そんな些細なことだけで、せっかく創った「日本のふるさと」の全体像は壊れていくのだろう。
後藤さんの最後の法則を用いて言うならば、「理想の状態」のときに、「最悪の事態の始まり」を敏感に感じ取り、また、成功体験を捨てられるかどうか、黒川温泉の次代を担う経営者の「姿」と「心のあり方」にすべてがかかっていると思われる。


参考文献:
●「黒川温泉のドン、後藤哲也の再生の法則」、著者:後藤哲也
●「黒川温泉、観光経営講座」、著者:後藤哲也・松田忠徳

参考URL:
●「新明館」: http://www.sinmeikan.jp/
●「山みず木」: http://www.yamamizuki.com/

 




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