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持続可能なまちづくり

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注目すべき自然再生技術 〜21世紀に脚光を浴びる大事な技術〜

持続可能なまちづくり ナビゲーター 中村 元則 (なかむら もとのり) {プロフィール}

2007年07月05日

20世紀は、自然破壊の時代
 20世紀の都市づくりによって、アスファルト舗装道路やコンクリートの建物が都市一面を覆った。
私自身も長年、宅地化を目的にした土地区画整理事業やスクラップ・アンド・ビルドの都市再開発事業を、全国各地で実施してきた。今思えば、どれだけの水田を埋立て、山地を切り開き、自然を破壊してきただろう。
 確かに、高度成長期以後の宅地需要の急増と進展するモータリゼーションへの対応、また、戦後造られた都市構造物の老朽化・機能不全への対応など、その時々のニーズに対応してきたまでであり、必然的なれっきとした理由があったはずだ。
 ところが、地球環境問題や自然破壊が懸念され、それらの環境情報を耳にするとき、果たしてそれでよかったのだろうかと思うと同時に、これからのまちづくりはどのようにすればいいのだろうかと考えることが多くなった。
 都市問題と環境問題(当時は公害問題)は、私の学生時代からのテーマだった。このまま世の流れにまかせて、自然破壊のみに終わってしまってはならないと、思いを新たにする日々である。


私の母も宮脇ファン
 自然破壊をしてきたという罪意識から、思い浮かべる人がいる。森林再生にかける熱き思いと実績で、世界的に著名な植物生態学者の宮脇昭さんだ。
 (財)日本ナショナルトラストに勤務する東京の友人から、宮脇さんの近況などを聞き、かねてからチャンスがあればお会いしたいと願がっていた。その宮脇さんが、なんと先日、講演のため、私の住む福井に来られたのだ。
 宮脇さんのお名前を目にし、尊敬の念を抱いてから30年、ようやくお目にかかることができた。宮脇さんを尊敬しているのは、私ばかりではない。80歳を過ぎた私の母親も、図書館で私が借りてきた本を熱心に読みながら、いつしか宮脇ファンになっていた。


宮脇方式による森の再生
 講演では、都市化によって次々と緑が失われ、胸を痛めていた宮脇さんが、自らの研究結果を実践すべく、製鉄所や電力会社などに提案し、精力的に森づくりに取り組んだ様子をスライドを交えながらお話された。宮脇さんは、これまでに全国各地で1,500箇所を超える森づくりを行い、なんと3,000万本の木を植えてきたそうだ。
 宮脇方式による森づくりは、世界的にも注目されている。
 中国では万里の長城で、森再生のプロジェクトに取り組んできる。周辺の樹種を徹底的に調べた上で、土地本来の種を見つけ、育成し、植樹するという宮脇方式によって、約39万本を植樹したという。さらに、ブラジル・アマゾンでも「ミヤワキの森」が出現しており、その活動範囲は世界に広がっている。


後藤さんの紹介で岡本さんに会う
 むろん、森づくりは宮脇さんの専売特許ではない。前回記事で紹介した黒川温泉のリーダーである後藤哲也さんも独自に街の森づくりに取り組んでいる。
 黒川温泉をお伺いしたときに、後藤さんから、ご自身が指導・監督されて再生した場所を幾つか教えられた。そのひとつに、熊本県小国町内にある明治創業の「岡本とうふ店」がある。岡本とうふ店は、奥まった相当道幅の狭いところにあり、慣れない道をカーナビの案内で行くと、あいにくその日は休店日であった。
 「ああ〜」とため息がでたその時、まるで約束でもしていたかのように、店主の岡本さんが店の前におられた。またしても、偶然に願いがかなったのである。初対面にもかかわわらず、岡本さんは、後藤さんの紹介とあれば・・・と、店が休みにもかかわらず、トコトンまでご案内してくださった。


驚いた自然再生技術
 驚いたのは、後藤さんが指導・監督されて出来上がったという露天風呂のある田舎宿の一角だ。
 岡本さんに整備前の写真をみせてもらったが、岡本さん所有の荒地が、周辺の山地にある自然の雑木を用いて、もともとある石や水の流れを活かしつつ見事に生まれ変わっていたのだ。(写真参照)
 さらに驚くことには、この自然再生の作業には一週間もかかっておらず、時間がない後藤さんは、どしゃぶりの雨の中でもエイヤーとばかりに、一挙に作業を進めてしまったという。一緒に作業をした岡本さんもビックリしたらしいが、話を聞いただけの私たちも、十分驚くようなお話だった。


宮脇昭さんと後藤さんの実践
 宮脇さんの教えでは、再生されるのは潜在自然植生といって、その土地本来の植生で構成された森林を蘇えらせることを重要視する。そして、潜在自然植生は日本国土の0.06%にしか残っていないという。
 雑木を用いる後藤さんの自然再生技術は、潜在自然植生を蘇えらせることが主眼ではなさそうだ。それでも、後藤さんが再生した自然はやすらぎがあって、さも昔からあったようにたたずんでいる。
 なぜ、いかにも造った風には見えないのだろうか。


血肉化した自然再生技術
 その秘密は、長年の間に血肉化した、後藤さん自身の自然との付き合い方にあった。
 後藤さんは「黒川温泉のドン、後藤哲也の再生の法則」にも書いてあったが、子供の頃から、木に興味があり、年中山に行って自然林を眺め、また、自ら小さな苗木を丹精込めて育ててきた。その中で、根がどのように地下に張るのか、日射や酸素をどの程度必要としているのか、などの生育に必要な環境情報を実地に学んでいる。
 いかにも自然に雑木林をしつらえてしまうノウハウと技術は、こうした長年の山木育ての体験に裏打ちされたことである。
 だからこそ、黒川温泉や小国町の露天風呂のある田舎宿周辺の林は、さも、昔からあったように自然にたたずんでいるのだろう。


街に雑木林を! 森づくりを!
 自然破壊の時代だった20世紀を過ぎ、懸念される地球環境問題やこころの時代と言われる21世紀は、自然の再生や復元がまちづくりの課題となると考えられる。
 「黒川温泉のドン、後藤哲也の再生の法則」の最後のほうに、「全国の町おこしなんかの活動を回っても、雑木の大切さに気づいているところが、まだまだ少ない。僕は、日本中の街に雑木林がでけりゃいい、と思っとります」という一文がある。
 また、宮脇さんも講演の中で「アーバン・フォーレスト、つまり都市に森をつくろう、鎮守の森をつくりたい、ということを真剣に考えておられる方が会場におられれば、私は喜んでお手伝いしますよ! 森になるには、長くかかりません。植えてから5年、10年で、ホンモノの森に生まれ変わりますよ!」と力強くおっしゃった。
 その言葉が今も耳に残り、私の魂を揺さぶる。


21世紀に脚光を浴びる大事な技術
 70歳を超えてもなおエネルギッシュなお二人の言葉を思い出しながら、以前から「駅前に森づくりを!」と考えていたことを思い出す。
 駅前という最も経済性が重視される空間に、全く経済価値を持たない森など成立するはずはない、と自分の考えを否定しながらも、「日本中の街に雑木林を!」と後藤さんに呼びかけられれば、「その通りだ!」と、心から共感できる。
 いままで、経済性の観点からしか見られなかった駅前地区の空間価値が、これからはきっと変化するに違いない。
 これは何も、駅前地区ばかりではない。通常の住宅地やオフィス街なども同様であり、あちこちで、「自然再生技術」は、大事な技術として21世紀に脚光を浴びるに違いない。
 少なくとも、自然を破壊してしまった都市においては、是非ともやらなければならないことだ。


参考文献:
●「木を植えよ!」、著者:宮脇昭
●「いのちの森を生む、苗木3000万本」、著者:宮脇昭
●「緑回復の処方箋」、著者:宮脇昭
●「あすを植える、地球にいのちの森を」、著者:宮脇昭
●「鎮守の森」、著者:宮脇昭
●「黒川温泉のドン、後藤哲也の再生の法則」、著者:後藤哲也

参考URL:
●「宮脇昭」:
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E8%84%87%E6%98%AD
●「ブループラネット受賞者宮脇昭のプロフィール」:
 http://www.af-info.or.jp/jpn/honor/hot/jnr-miyawaki.html
●「岡本とうふ店」:
  http://www.okamoto-toufu.com/index.html

 




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