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持続可能なまちづくり

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ドイツの持続可能な住宅団地〜フライブルクにあるヴォーバン団地〜

持続可能なまちづくり ナビゲーター 中村 元則 (なかむら もとのり) {プロフィール}

2007年10月02日

専門ガイドの村上敦さんに会う
スイス、マッタホルン登山口のまち、チェルマットを出発してから、急がなければ・・・と、豊かな緑地帯を両脇に見ながらアウトバーンを走っていた。
実は、まちづくりの専門家でもある村上さんに、ヴォーバン団地のガイドをお願いしていた。その村上さんの誘いで、フライブルク市近郊にあるご自宅に伺うことになっており、その約束の時間になんとか間に合うことができた。
村上さんの住む村は、古くから一本の橋しか連絡路がない美しい村であった。
早速、コーヒーや紅茶をごちそうになり、勤めから帰宅された素敵な奥さんや学校から帰って遊んでいた子どもさんにも、お会いすることができた。

ヴォーバン団地は何が優れているのか
村上さんが乗るバイクに先導されて、車にて30分程度でヴォーバン団地に着いた。
ヴォーバン団地は、市中心部から南西方向約3kmにあり、ほぼ横長の団地で41haの大きさだ。(写真参照)
団地づくりのポイントを整理してみた。


ヴォーバン団地の概要図
1.緑豊かな美しい街並み景観
2.車との新しいつき合い方
  (カーシェアリング)
3.雨水地下浸透による水資源保全策
4.省エネハウスと地域熱供給システムなど

いうなれば、人や生物に配慮しながら、地球環境に対する開発や利用負荷をできるだけ最小化する実践例だ。このうち、1と2を次に詳述しよう。


緑豊かな通り景観、
子供たちの遊び場でもある


小川に入り始めた自転車と乳母車の親子連れ
特徴的な都市計画制度
通り沿いの植樹帯が幅1.5mで両側に設けられ、敷地内の庭木とともに緑豊かな景観を演出している。(写真参照)
その通りを抜けると、大木が自然植生の中にたたずみ、子供たちの遊ぶ声があふれている大きな公園が広がる。さらに、団地の南側には、幅10m以上は優にあると思われる緑地帯の中に、自然のままの小川が流れている。ちょうど、自転車と乳母車の親子連れが、小川の中にいきなり入り歩き出したのには、少々驚いた。ドイツの子育ての一端を知るような出来事だった。(写真参照)
そもそもドイツには、特徴的な都市計画制度がある。土地利用計画としてのFプラン、地区詳細計画としてのBプランの2段階構成の制度である。
この緑豊かな美しい街並み景観も、地区詳細計画であるBプランの成果だ。両側通り沿いの植樹帯1.5m分は、公共用地(道路)でありながら、沿道住民の各戸に管理を任せているのだ。それが、民地内の庭木とあわせて、よく手入れされた美しい通り景観となっている理由だ。
さらに、建物の壁面が表裏両面ともに揃っていて美しいのは、Bプランの壁面線指定の結果だ。


カーシェアリング用の駐車スペース


都心と団地を結ぶ路面電車が
芝生の軌道敷を走る
車との新しいつき合い方(カーシェアリング)
車で自宅前まで来られるのは便利だが、反面、道路は安全な歩行者路と子どもの遊び場ではなくなる。そうした問題に、ヴォーバン団地は、カーシェアリングという車利用の新しいつき合い方を採用した。
カーシェアリングとは、「特定の会員や仲間の間で車を共有する。各会員が保有しているのは車でなく、必要に応じて車を利用することができる権利」のこと。
まだまだ、新しい考え方だけに、採用の仕方は柔軟かつ慎重だった。
つまり、団地の入居契約時に車所有の放棄を強調しすぎたブレーメンの失敗を踏まえて、柔軟に3タイプの車利用を選択できるようにした。
その3タイプとは「車を所有しないタイプ」のほかに、「遠く離れた共同駐車場にとめるタイプ」と、それに従来と同様に「自宅前か自敷地内にとめるタイプ」である。さらに、工夫されているのは、通過車両が入ってこないように、生活道路をループ型に配置し、車と歩行者の共存した安全な道路を実現していることだ。
また、都心を結ぶ路面電車が、芝生の軌道敷きとともに団地内に導入整備され、環境問題の解決策と同時に、車利用抑制の支援条件となっていることは印象的だった。

行政、市議会、市民のあるべき関係
この団地が、出来上がるプロセスを見てみると・・・
まず、市議会が、Bプラン原案のコンペのための条件を決議することから始まる。その決議内容は、600人の雇用を生みだすこと、緑の保全であったという。
日本の場合、コンペの設計条件まで、議会決議となった例はあまり聞かない。また、雇用の創出まで、コンペの条件として設定したことが注目される。このように議会が本来果たすべき役割や(単なる居住のみの住宅団地づくりでなく)職住機能のそろった団地づくりを目指されている点に関心した。
続いて、コンペが実施され、受賞作品が市議会で認定されると、行政がBプランの原案を作成する。その原案をもとに、2年間の期間を設けて、行政と市民が、二人三脚で、改正案を作成していくという、これが概略のプロセスである。
特に、カーフリー地区を設けることや、住宅地内道路を通り抜け禁止にしたり、歩行者・自転車道を拡幅するなど、安全安心なものへ変更したこと、さらに、公園の内容を決めることなどが、住民参加のもとでなされたという。
こうした行政、市議会、市民が本来持つべき役割をしっかりと果たしながら、ともに協働して取組む姿勢がベースにあり、そのことがヴォーバン団地を持続可能な住宅団地にしている基礎にあることを学ぶことができた。

待ちどうしい日本へのメッセージ
ドイツで進められる数々の持続可能なまちづくりの取り組みは、そのままの形で日本に適用できるわけではない。ドイツと日本では、都市計画制度や公共交通基盤整備状況、市民意識などが異なるからだ。
たとえば、カーシェアリングを日本で実施しようとすると、村上さんの著書(参考文献参照)にも詳述されているが、様々な法的規制等が障壁となってくる。
しかしながらドイツも、先進的なスイスやオランダに比べると、必ずしもカーシェアリングに対する支援や規制緩和措置などが進んでいるわけではない。そのドイツで、新しい車とのつき合い方や環境に配慮した団地づくりが、市民参加によって見事に実現しているのだ。
このレポートでは残念ながら、ヴォーバン団地の優れた点を十分書ききれていない。
実は、ヴォーバン団地についての村上さんの労作が、今年12月に学芸出版社より発行される予定で、先日、その原稿を書き終えたとのメールをいただいた。
ヴォーバン団地が、これからの日本で、持続可能なまちづくりを考える上でのモデルになると感じている私にとって、村上さんからの環境情報や著作を手にすることが待ちどうしい限りだ。

参考文献:
●「カーシェアリングが地球を救う」、村上敦著 洋泉社
●「人と街を大切にするドイツのまちづくり」、春日井道彦著 学芸出版社

参考URL:
●「環境ジャーナリスト・村上敦氏のページ」 http://murakamiatsushi.de/

 




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