環境info トップページ ≫ 持続可能なまちづくり ≫ ドイツの持続可能な住宅団地〜フライブルクにあるヴォーバン団地〜

持続可能なまちづくり ナビゲーター 中村 元則 (なかむら もとのり) {プロフィール}
2007年10月02日
専門ガイドの村上敦さんに会う
スイス、マッタホルン登山口のまち、チェルマットを出発してから、急がなければ・・・と、豊かな緑地帯を両脇に見ながらアウトバーンを走っていた。
実は、まちづくりの専門家でもある村上さんに、ヴォーバン団地のガイドをお願いしていた。その村上さんの誘いで、フライブルク市近郊にあるご自宅に伺うことになっており、その約束の時間になんとか間に合うことができた。
村上さんの住む村は、古くから一本の橋しか連絡路がない美しい村であった。
早速、コーヒーや紅茶をごちそうになり、勤めから帰宅された素敵な奥さんや学校から帰って遊んでいた子どもさんにも、お会いすることができた。
ヴォーバン団地は何が優れているのか
村上さんが乗るバイクに先導されて、車にて30分程度でヴォーバン団地に着いた。
ヴォーバン団地は、市中心部から南西方向約3kmにあり、ほぼ横長の団地で41haの大きさだ。(写真参照)
団地づくりのポイントを整理してみた。

いうなれば、人や生物に配慮しながら、地球環境に対する開発や利用負荷をできるだけ最小化する実践例だ。このうち、1と2を次に詳述しよう。




行政、市議会、市民のあるべき関係
この団地が、出来上がるプロセスを見てみると・・・
まず、市議会が、Bプラン原案のコンペのための条件を決議することから始まる。その決議内容は、600人の雇用を生みだすこと、緑の保全であったという。
日本の場合、コンペの設計条件まで、議会決議となった例はあまり聞かない。また、雇用の創出まで、コンペの条件として設定したことが注目される。このように議会が本来果たすべき役割や(単なる居住のみの住宅団地づくりでなく)職住機能のそろった団地づくりを目指されている点に関心した。
続いて、コンペが実施され、受賞作品が市議会で認定されると、行政がBプランの原案を作成する。その原案をもとに、2年間の期間を設けて、行政と市民が、二人三脚で、改正案を作成していくという、これが概略のプロセスである。
特に、カーフリー地区を設けることや、住宅地内道路を通り抜け禁止にしたり、歩行者・自転車道を拡幅するなど、安全安心なものへ変更したこと、さらに、公園の内容を決めることなどが、住民参加のもとでなされたという。
こうした行政、市議会、市民が本来持つべき役割をしっかりと果たしながら、ともに協働して取組む姿勢がベースにあり、そのことがヴォーバン団地を持続可能な住宅団地にしている基礎にあることを学ぶことができた。
待ちどうしい日本へのメッセージ
ドイツで進められる数々の持続可能なまちづくりの取り組みは、そのままの形で日本に適用できるわけではない。ドイツと日本では、都市計画制度や公共交通基盤整備状況、市民意識などが異なるからだ。
たとえば、カーシェアリングを日本で実施しようとすると、村上さんの著書(参考文献参照)にも詳述されているが、様々な法的規制等が障壁となってくる。
しかしながらドイツも、先進的なスイスやオランダに比べると、必ずしもカーシェアリングに対する支援や規制緩和措置などが進んでいるわけではない。そのドイツで、新しい車とのつき合い方や環境に配慮した団地づくりが、市民参加によって見事に実現しているのだ。
このレポートでは残念ながら、ヴォーバン団地の優れた点を十分書ききれていない。
実は、ヴォーバン団地についての村上さんの労作が、今年12月に学芸出版社より発行される予定で、先日、その原稿を書き終えたとのメールをいただいた。
ヴォーバン団地が、これからの日本で、持続可能なまちづくりを考える上でのモデルになると感じている私にとって、村上さんからの環境情報や著作を手にすることが待ちどうしい限りだ。
参考文献:
●「カーシェアリングが地球を救う」、村上敦著 洋泉社
●「人と街を大切にするドイツのまちづくり」、春日井道彦著 学芸出版社
参考URL:
●「環境ジャーナリスト・村上敦氏のページ」 http://murakamiatsushi.de/
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