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NGOの関わりと植林・割り箸問題

NGO・NPO ナビゲーター 竹澤 明美 (たけざわ あけみ) {プロフィール}

2006年07月20日

先日報道された「割り箸」についてのニュースは、日ごろ中小規模の日本のNGOが行っている地道な植林活動等を支援している私にとって、大変ショッキングなニュースでした。
「割り箸」問題については、既に様々なメディアでも取り上げられており、ご存知の方も多いことと思いますが、様々な示唆に富んだニュースかと思いますので、敢えてこの問題について取り上げることにしました。

割箸論争
1989年4月、世界最大の自然保護NGO「WWF(世界自然保護基金)」が、熱帯雨林を破壊する元凶として割り箸を取り上げ、「割箸論争」が始まりました。
マスコミでも大きく取り上げられ、日本企業による熱帯雨林伐採が大問題となりました。実際、割箸排斥運動によって、割り箸の消費量は減ったといいます。
ところが当時の林野庁や製造業者の主張は、割り箸に使われている木材は間伐材や低利用材が多いため、割り箸の使用はむしろ森林整備に役立つというものでした。確かに当時は約60%が国内の間伐材で作られていたようです。

市場原理の怖さ
ところがそれから17年経った現在、報じられたところでは、日本人が消費する年間248億膳の割り箸の97%は中国からの輸入であり、しかも使用される木材は、天然材だというのです。日本のように間伐材の端材を用いる廃材利用ではないのです。しかも「皆伐方式」により伐採されているのでした。この方法では森は二度と生き返ることができません。

※皆伐方式…森林の全部または一部を一斉に伐採するというもの。作業は単純で効率的に行うことができる。植林もしない場合があり費用も安いが、持続的な木材供給ができなくなるほか、森林の持つ機能を失わせ、表土を流出・荒廃させ洪水等が防げなくなる等多くの問題を引き起こす可能性がある。

※択抜方式…一定の伐採率で、ある一定の樹齢に達したものを選んで伐るというもの。手間・コストがかかるが、持続可能な森林整備ができる。


割箸論争の後、人件費・原材料の安さや中国側の積極的な販売手法等により、中国産の安い割箸が日本の割箸市場に占める割合は徐々に高くなっていたのですが、すっかり割箸市場がその形を変えていたことに、気づいていた人はどの位いたでしょうか。あらためて市場が変化するスピードの速さと、「安さ」「大量」「効率性」のみが唯一の価値観として存在する、市場原理というものの恐ろしさを感じます。

学校林植栽当日の光景
学校林植栽当日の光景
途上国の人々にとって「森はいのち」。自然の恵みの喪失は死活問題です。
©(特活)カラ=西アフリカ農村自立協力会

結果の損得は?
「安さ」「大量」「効率性」を追い求めた結果はどうだったでしょうか。企業は果たして得だったでしょうか。
短期的に見れば、確かに仕入れは安くできコストも抑えることができるので、一見得のようにも見えますが、結果として貴重な地球資源である森林を破壊し、将来的に場合によっては砂漠化や食糧難等の影響を受けることになります。またコスト増を迫られ、その対応に追われなければなりません。トータルで見ると、むしろマイナスのように見えます。
競争に打ち勝つため、社会的利益と照らし合わせる猶予もないのは問題です。市場原理により異常なスピードで進んでいく手法は、もはや見直される時期にきていると、つくづく感じます。

市場原理と一線を画した世界に存在するNGO 
一方、NGOは基本的には市場原理とは一線を画した世界に存在しています。何らかの社会的使命を目的としているため、市場原理に左右されず問題がそのまま見えやすいという特徴があります。
先日パーム油の問題で8つの環境NGOの提言(要請書)が注目を浴びましたが、今後ますますNGOの調査力、提案力、発言力が期待されているように感じます。
日本では、歴史や風土の違いから、NGOの真価はまだこれから発揮される部分があるかと思いますが、欧米では、NGOは歴史もあり、市民が「最も信頼できる組織」として評価しているという調査結果があります。実際、特に環境や社会正義の面では、その中立性や専門性等が高く評価されています。事業体として年間数百億円の予算を動かし、優秀な人材を多く抱えているNGOも少なくありません。優秀な人材は企業や政府よりもNGOに就職するという事実もあり、日本の大企業の中には、欧米のNGOと直接パートナーシップを組むところも出てきています。

事実を見極められる力を鍛える
しかしながら、今回メディアで大きく割箸問題が報道されたのは、NGOによる提言等によるものではなく、中国側の2008年対日輸出停止という方針決定によるものでした。
今まで割箸問題の背景にある事実については、声を挙げているNGOも多く存在しましたが、市場原理の設定がおかしくならない限り、その事実が大きく明るみに出ることはありませんでした。多くの人々の心や耳に届くことのない社会構造になっているとすれば、それは社会的にも大きな損失であると思われます。
日本でも既に多くの企業がNGOと協働し、CSR(社会的責任)を推進していますが、今後も双方がお互いの特性を尊重しながら切磋琢磨し、透明度の高い持続可能な社会の実現に向けて方向性を打ち出していければと思います。また、企業人であっても、家庭に帰れば一人の一市民です。できれば何らかの形でNGOのような社会活動に関わっていけることができれば、日本もより成熟した社会になり得るのでないでしょうか。成熟した市民の存在があってはじめてNGOの組織力が強化され、企業を鍛えることにもなり得ます。
そしてできれば今回のように中国側の値上げ要求という「外圧」により事実が明るみにでるのではなく、NGOもしくは企業が自らの力で、社会利益に反するような事実を発見し、大きく変えていくことができるようになること、それが理想です。

<参考>
環境三四郎:http://www.sanshiro.ne.jp/

割り箸の国内生産量と輸入量

 




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