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NGOキャンペーンが勝ち取った新たなルール

NGO・NPO ナビゲーター 竹澤 明美 (たけざわ あけみ) {プロフィール}

2007年09月21日

エイズという病気について
エイズという病気をご存知かと思います。
エイズは今、途上国の活力を失わせている原因の一つになっています。
1980年前後に流行が始まったエイズは想定以上の勢いで拡大し、毎年約500万人がエイズの原因であるHIV(ヒト免疫不全ウィルス)に感染し、約300万人が亡くなっています。

たとえばアフリカのジンバブエでは、女性の平均寿命は34才、男性は37才です(2006年WHO)。この国では大人の5人一人がHIVに感染しているといわれています。

エイズの怖いところは、15〜24才の若い世代に集中していることと、次の世代にも大きな影響を及ぼしてしまうこと、そしてもともと貧しかった人を更に貧しくしてしまうことです。
片親または両親をエイズで失った「エイズ孤児(18才未満)」は全世界でおよそ1,500万人おり、母親の胎内でHIVに感染した15才未満の子ども約40万人が毎年エイズにより亡くなっています。
子どもや働き盛りの男女を失った国は活力が失われ、国家の存亡にも影響を与えるほどになっています。


開発されたエイズ治療薬
エイズは、HIVに感染することにより免疫細胞が破壊され、発症する病気です。その人の健康状態等によって潜伏期間が異なり、15年経っても発症しない人がいるかと思えば、6ヶ月〜2年以内に発症する人もいます。

一旦発症してしまうと、完全にエイズを治す薬はまだありません。ただ、毎日決まった時間に複数組み合わせて飲み続ければエイズの発症を抑えることのできる薬を、欧米の企業が開発しました。

この薬により、HIVに感染してもその増殖を抑え、エイズを発症せずに普通に生きることのできるる可能性が高まりました。

しかし、開発されたばかりの薬は、製造コスト、開発コスト、特許料などが価格に上乗せされるため、大変高価です。途上国の人々にとってはとても手が届きません。その上、検査機械等の医療設備が揃わない、病院が都会にしかない、薬を飲み続ける習慣がない等々の問題があり、薬は開発されたものの様々な面で、「途上国でのエイズ治療は難しい」 と、専門家をはじめ誰もがそう考えていました。


企業の権利をどこまで保護するか
薬が新たに開発された場合、数年すると政府や公共機関が介入・購入し、値段が下がるのですが、このエイズ治療薬については、価格がなかなか下がりませんでした。立ちはだかっていたのは、企業の「特許権」及び国際機関により保護された「知的所有権」の問題です。

エイズで次々に人が亡くなっていくこの事態を前にして、なんとか薬を広く人々の手に行き渡らせたいと考えるのは当然のこと、薬が高価だからといって手をこまねいていることはできません。途上国の中でも比較的力のある国では、特許保護の対象となっている薬と同等の効果成分を含む「ジェネリック薬」を作り始めました。高い特許料等が上乗せされていないため、12,000ドルの薬を、1,000ドルで作ることができました。

企業が何か製品を新しく開発した場合、発明者の権利として、一定期間そこから生み出される利益を独占できるという「特許」という権利があります。模倣した製品を製造する場合は、発明者に対し特許料を支払う必要があります。

ところがこの特許権は国ごとに異なり、適用される範囲も国ごとににそれぞれ違うため、国外には適用されません。理由としては、「独占」と裏腹の関係にある特許権を強めすぎると、数社が同時に研究をしていた場合、開発に一番早く成功した会社にしか利益がもたらせられない、多くの人が必要としているのに価格がなかなか下がらない、等様々な弊害が出てくる怖れがあるからです。

しかしながら国内のみにしか影響を及ぼすことができないということは、多大な投資をしてきた開発者としては、納得がいきません。

こうした企業側の声が反映され、1995年、貿易を取り扱う唯一の国際機関「WTO(世界貿易機関)」が設立された際、この「特許権」は、「知的所有権」という名前でパワーアップし、国の内外に適用されるルールとしてWTOの協定に定められることとなりました。

WTOは、非常に厳しい制裁措置を持つ大変強い国際機関で、世界のほとんどの国が加盟しています。他の国際機関は決まった条約を破っても処罰のない場合もありますが、WTO協定を破ると多額の賠償金を払わなくてはいけなかったり、国際社会全体から圧力をかけられたりします。

そのWTOの協定の中で、「特許権」は「知的所有権」として世界中に通用する権利となったほか、20年間という長い有効期限を持つ権利となりました。加盟国は自国の法律を、WTOの協定にあわせて変更する必要に迫られました。

南アフリカの裁判
そうこうしていくうちに、南アフリカではエイズ患者とエイズ孤児が増大を続け、若者がばたばたと亡くなり労働力を失いました。これは国の存亡にかかわる国家的緊急事態であるとした南アフリカは、自国の法律を改正し、「値段の安いジェネリック薬を輸入することができる」という規定をつくりました。

これに対し、1998年、大手製薬会社39社は、WTOの協定違反であるとし、南アフリカ政府を訴える裁判を起こしました。

裁判は当初、製薬会社側の言い分が認められそうで、南アフリカの法案も、廃案寸前にまで追い込まれていました。そこでNGOでは、「必須医薬品入手キャンペーン」という国際キャンペーンを展開しました。

キャンペーンの趣旨は、“特許(知的所有権)よりも人命が大事”“世界のすべてのHIV感染者に薬を届けていこう。そのために、ルールを変えよう”というもので、2ヶ月余りで25万人、最終的には100万人の署名を集めました。

キャンペーンは、日頃感染していることを世間に隠しながら暮らしている感染者自身が中心となり、裁判には感染者自らが法廷に立ち、自分達の状況を証言しました。

感染者自身の証言は説得力を持っており、流れが変わってきました。そして2001年4月、多国籍製薬会社側は提訴を取り下げました。

そして同年11月、『特許・知的所有権といえども、公衆の人々の健康を妨げてはならない』という文言が、WTOの協定に付加されることになったのです。

キャンペーンを展開し始めた当初、感染者・NGO側の主張は全く耳を傾けられることがなかったといいます。裁判以後、国連や専門家が一気に動き始め、エイズ等の感染症対策に必要なお金を貧しい国々へ公平に分配するための「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」等が設立されることになりました。

知的所有権の在り方は、全て解決された訳ではなく、まだまだ多くの改善を必要としています。
しかしながら、誰もが自分自身で動き、声をあげていくことにより、新たなルールを作っていくこともできる、このキャンペーンはそのことを教えてくれているように思います。


<協力>
・(特活)アフリカ日本協議会 http://www.ajf.gr.jp/
<参考>
・岩波ブックレット 「エイズとの闘い 世界を変えた人々の声」 林達雄著
・「世界の貧困問題をいかに解決できるか 〜『ホワイトバンド』の取り組みを事例として〜」
小林正弥 上村雄彦
・オックス・ファム・ジャパン 「キャンペーンが歴史を変えた」
http://www.oxfam.jp/campaign/reason.html

<エイズについて更に詳しく知りたい方は下記サイトへ>
・(特活)シェア=国際保健協力市民の会 http://share.or.jp/health/aids/

 




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