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自然環境 ナビゲーター 中田 陽子 (なかだ ようこ) {プロフィール}
2006年12月20日
■猪突猛進(ちょとつもうしん)ではないイノシシ
2007年干支のイノシシの話題をひとつ。「猪突猛進」を辞書で調べると「周囲の人のことや状況を考えずに、ひとつのことに向かって猛烈な勢いで突き進むこと。」とあります。しかし、本当はとても臆病だそうです。私は、高尾の森で足跡や土を掘った穴をよく見ますが、彼らの姿を見たことがありません。
イノシシで1度に生まれる子供の数は4〜5頭で、ブタのように10頭も生まれません。メスが共同でちびっ子たち、ウリ坊を育てます。ウリ坊は、茶色の毛に白い縞模様がある、鼻先の細い子ブタのようです。やんちゃで好奇心いっぱいです。イノシシの大人は警戒心が強く、畑や水田には、まず子供が近づいてから大人が安全確認をして出てきます。
■害獣のイノシシ
森の中で暮らしている分には人に危害を及ぼさないイノシシも、畑や水田を荒らせば害獣です。被害で困っている農家では、畑のまわりに柵をめぐらせネットで囲みます。あるイノシシ研究者(イノシシ博士)に話を聞いたことがあります。
「農家の人は、ネットが風で飛ばないように石を置きます。すると、イノシシは石を鼻先で転がす習性があるので、かえってネットの中に入ってしまうのです。彼らの好物のミミズや昆虫は石の下にいるからです。柵をしても細い棒は、彼らにとって障害物ではなく、ヤブの中の草木と同じです。流線型の体で草木を倒しながらヤブを進みます。ジャンプ力があり1mの高さを助走なしで飛べます。柵の下が20cmあれば、潜り抜けます。電気策柵は効果がありますが、びっくりして走り出し、柵を壊してしまうこともあります。」
■臆病で大胆なエピソード
・みかん畑でサルは、実の一部分をかじって他の実を食べるが、イノシシは残さず食べた。
・イノシシは鼻が良く、猛獣の排泄物の臭いを嫌うというので、動物園からライオンのそれを貰ってきて実験してみたら、体中になすりつけてしまった。
・新聞記者がイノシシ博士の実験場に取材に来たが野生のイノシシたちは1週間しても姿を現さなかった。記者が帰ると翌日から博士の前に姿を現した。
■人里にやってくる理由
イノシシは人と同じ雑食です。森の中に食料がないのではなく、人里の田畑や家の周辺で収穫されず放置された果実などがあると、生い茂った雑草に隠れて近づきます。また、食べ物ゴミ入りのスーパーの袋が山に放置されてあれば、袋の中にはご馳走があると学習してしまいます。
■クマの被害
クマが人里に下りてくるのは、山にドングリ(コナラ、ミズナラ)やクリ、ブナ、クルミ、などの実が不作でクマの食料がない場合と、逆に里山周辺のクリが大豊作の場合などがあるそうです。クマもイノシシと同様、食料ゴミを野外に放置すると味を覚えてしまいます。
・環境省 クマ類出没対策マニュアル(暫定版)
http://www.env.go.jp/nature/yasei/kuma_manual/
※昔、親戚の農家で、ブタ小屋の中を走り回り、どうしても可愛い子ブタを東京に連れて帰ると母を困らせたそうです。ウリ坊はもっと可愛いかもしれません。兵庫県で街中にイノシシが出没すると聞いたことがあります。けれども野生のイノシシやクマと人里では共存できません。お互いに違う場所に住み分けできるようにしてこそ共存です。今回の記事では、ご紹介できるホームページがなかったことが残念です。それだけ、イノシシについての知識は一般に知られていないことを感じました。
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