環境info トップページ ≫ 自然環境 ≫ 農家の若い3兄弟が建てた不思議な家

自然環境 ナビゲーター 中田 陽子 (なかだ ようこ) {プロフィール}
2008年07月08日
中田陽子、中城秀典
地元の木や土を使って建てた手作りの家に泊まった環境プランナーER、中城秀典さんにお話をうかがいました。
民家をお借りして、1泊2日の、ある研修会に参加しました。この家は中国山地の山間部にあり、「人が集い、そして、おもてなししたい」という思いで、若い兄弟たちが作ったものです。彼らは、自らを「百姓です」と名乗り、自然農法の農業をしています。
兄弟たちは建築の素人ですが、建築イメージや間取りは全て自分たちだけで考えました。一見、古民家と思いましたが、殆どの木材は新しく伐り出した木を使い、表面を焼いています。先祖の植えた木を3人で伐り、大工仕事は地元の棟梁に頼みました。また、壁は地元の技術を残すために、左官の親方の息子さんに土壁を塗ってもらいました。
玄関は吹き抜けの土間で、重厚なケヤキ、ゴヨウマツの60cmほどもある大柱が迎えてくれます。中に入ると、広い座敷のほか、20人が囲める長方形の囲炉裏が作られています。建物の柱の幅は30〜40cmほどあり、梁も太く自然素材が生かされています。マイナスイオン効果なのか、とても癒されます。床柱のヒノキは、新月の真夜中に神事を行って伐り、1度も土に触れさせず、人が木を跨がず、大切に運びました。建物の1本1本の木に物語があり、神社で枯れて倒れた巨木を、再び活かしたいと特別に譲り受けたものもあります。床板、天井、押入の壁はスギの無垢材で、障子や襖もがっしりした仕様です。照明器具は和紙や竹による手作りで、風呂は屋外の五右衛門風呂です。
幅広の縁側には、アルミサッシの戸がありますが、全部引き込みであり、まるで能舞台が開かれたような空間となります。眼下には、山や谷が広がり、霧がかかると雲海の社となります。インターネットの設備はあるのですが、ビジネスホテルなどの研修会とは全く異なり、自然と調和した何とも言えない空間と時間を過ごせました。まさに現代版寺子屋です。
キッチンは別にありますが、竈(かまど)もあります。食事は、その日採れた有機野菜、山菜、酵素玄米、ウコッケイの卵などを使い、囲炉裏を囲んで地元の肴と酒で話がはずみ、翌日は竈で蒸した米でよもぎ餅を作りました。
研修に来た人たちは、裏山での林業や農業の暮らしや景色を眺め、自然素材の家で過ごすことで、環境への意識が芽生えてきます。参加者がみな、エネルギーや『気』を感じていたようです。ご先祖様や、おじいさんが孫やひ孫のために植えた木で家をつくるという持続可能な社会が日本の基本であったのに、戦後、木材が輸入され家作りは工業化されてワンウェイになりました。
暮らし方の原点、家づくりの原点に気づかされ、日本古来の暮らしや住まいを現代の感覚で考え、しかも建築の専門家ではない若者が実現させていることに感動しました。
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