環境info トップページ ≫ 自然環境 ≫ 期待ふくらむ「十勝千年の森」

自然環境 ナビゲーター 中田 陽子 (なかだ ようこ) {プロフィール}
2009年02月25日
上原 健
大学生時代を過ごした北海道・・・といっても、短い学生時代に回るには北の大地は広大過ぎて行ったところは数えるほど。残念な思いを残して北海道をあとにしたのですが、卒業後25年以上過ぎて、思いもかけず、「環境保全」「地域活性化」の仕事で道内あちらこちらを巡らせてもらうことになりました。
25年といえば四半世紀、人々の営みが北海道の自然を変える・・・その多くは人工的な景観へ、そして多様性を失う方向へ・・・には十分すぎる時間です。しかし例外的に、その逆の方向、より本来の自然環境へ、多様な生き物を育む生態系へと変貌しようとしているところがあります。そのひとつが、十勝の清水町羽帯、日高山脈の麓に広がる「十勝千年の森」です。
2008年11月12日、「十勝千年の森」を訪ね、運営母体の(有)ランラン・ファーム支配人、瀧川隆博さんに敷地内を案内していただく機会を得ました。
澄みわたる好天のなか、400haの広大な敷地、点在する現代アート群、庭園、牧場、レストラン等は輝くばかりで、観光資源として魅力たっぷり。ヤギのチーズなど健康重視の食材も多く、東京農大の小泉教授が“悶絶”したという「ごぼ(ごぼう)天そば」は、わざわざ帯広から食べに来る方も多いというのが頷けるおいしさです。
加えて、不思議な乗り物、セグウェイによる自然ガイドツアーなど、さまざまなプログラムも用意され、環境教育拠点としての大きなポテンシャルを感じました。シーズンオフの平日ということで来訪者はまばらでしたが、より多くの方に来てもらいたい、また来てもらえるエリアだと思いました。
このように見どころ満載の十勝千年の森ですが、私の興味を引いたのはやはり時間の経過に伴う「森の成長」です。開墾によっていったん畑地へ変えられていった十勝の原始の森、その畑地をまた森に戻す試みです。人の手によって植えられた木々はどのような森に育っていくのでしょう。
すでに400haの敷地のうち、125haがミズナラ、ヤチダモ、カツラ、ハリギリ、イタヤカエデなど、在来樹種による十勝本来の広葉樹林となっているそうです。この林では地面の部分、林床(りんしょう)の手入れも草花の生活サイクルに合わせて行われており、春から秋まで多種多様な花々が咲き誇っているそうです。ちなみに、ヤギも下草を食べ、糞尿をすることで森作りに貢献しているとか・・・。現在135haのカラマツ林もだんだんと広葉樹に置き換えられ、高い木、中くらいの木、低い木が層を成し、多様な空間を作り出すような森林管理が行われています。
十勝毎日新聞が新聞用紙として消費している森林資源を森を育成することでオフセットしようと始めた十勝千年の森事業ですが、今回の訪問で生物多様性を高めるという面で、さらに大きな意義をもっていることが実感できました。
今回も林を駆け回るエゾリス、朽木を突付くキツツキの仲間、アカゲラを間近で見ることができましたが、次回訪れるときは天然記念物のクマゲラやシマフクロウが見られるかも・・・。そんな大きな期待がふくらむ森でした。
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